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第12話 牛乳に関する論争を検証する

牛乳が是が非かの論争は長い。未だに結論も出ていない。
私は、この論争を調べてみて、不思議に思うことがある。
それは、この論争のほとんどが「成分」に関する論争だからである。
「自然の摂理」から論じた意見書を読んだことがない。
私は、自然の摂理に照らしあわせて下記の論争を見出している。

■結論
「乳」と名のつくものは全て哺乳類(当然人間も含む)において、生後間もない状況下の哺乳類が食するものである。
それ以上でもそれ以下でもない。

■理由
生乳(加工していない乳)には、需要な栄養素が沢山含まれているのは事実である。
例えば、牛乳(生乳)には、各酵素の他にラクトフェリンという免疫学的に重要な栄養素も含まれている。
しかし、このラクトフェリンは、成人哺乳類が飲んだ場合、胃酸で分解され役に立たない。
牛乳に含まれるタンパク質の8割を占めるガゼインは胃酸によって固まり、消化し難い状態に変化する。
更に、「乳」に含まれる炭水化物の乳糖も分解する酵素「ラクターゼ」は、どの哺乳動物においても生後間もない状況においては豊富に存在するが、成長するにつれ極端に減少し、成人哺乳動物の腸にはわずかにしか存在しない。
もちろん、どの体内酵素も年齢と共に減少するが、このラクトフェリンの減少は著しい。

牛乳を発酵させたヨーグルトにおいても同様である。
ヨーグルトの乳酸菌を取り上げて是とする意見が多いが、本来、食したほとんどの乳酸菌は、胃酸で死滅する。
こんなことは今まで当然の理であった。
最近になって、各メーカーが「直接、腸に届く」とか「生きたまま腸に届く」と標示、宣伝して新しいタイプのヨーグルトを売りだしている。
よく考えてみると、おかしな話である。
では、今までのヨーグルトの乳酸菌は、腸に届いていなかったのか?
実は、その通り、胃酸でそのほとんどが死滅していたはずである。
消費者もその胃酸と乳酸菌の関係をご存知の方は少ないから、大きな疑問にも反響にもなっていないようだが、各乳業メーカーからすれば幸いである。
では、何故便通が良くなったのか?
それは、先程申し上げた、乳糖分解酵素ラクターゼの不足によって、乳糖の消化不良を起こし、それで便通が良くなったと理解されたほうが良いかと思う。

何であれ、便通が良くなったのだから、それはそれで結構なことで、便秘薬(化学薬品)を用いるより良いかもしれないが、便通の良くなったメカニズムを正しく知っておいたほうが良い。

牛乳が動物脂肪であるとか、カルシウムを豊富に含んでいるとか、牛乳も生乳を加工したら酵素が失われるとか、牛乳を飲み続けると乳がん・前立腺がんの発症リスクが高まるとか、色々意見はあるだろう。

■完
しかし、「乳」とつくものは先の結論の通り、まだ胃酸が分泌されない生後間もない哺乳動物が食するもので、胃酸が分泌されるようになり、また「乳」の消化酵素が減少した成熟哺乳動物が食するものではないのである。生後間もない哺乳動物はまだ免疫力が備わっていない。だから「乳」を食することで免疫力を付けていかなければならないのである。そのためには胃酸は邪魔であり、胃酸を出す成人哺乳動物は、すでに免疫力を持ち合わせているのである。
だから、自然界において、野生哺乳動物で成熟して「乳」を食するものはいない。

■教訓
我々の体は間違いは犯さない。
しかし残念ながら、我々人間は間違った行き方を選ぶ時がある。
それが知識を持つに至った人間と野生動物の差である。
野生動物は感性で、自分の生き方を選ぶ。
知識に汚されていない感性は間違うことはない。
そうかと言って、人間の知識が悪いのではない。
文明は必然であり、良い悪いでは語れない。

牛乳も嗜好品として、飲むなら又別であろう。

詳しくは、当クリニックが開催している免疫勉強会でお話し申し上げることに致しましょう。