目次 < 第27話 呼吸法と免疫 >次の記事

第27話 呼吸法と免疫


生物学者、本川達雄氏のロングセラー「ゾウの時間、ネズミの時間」というのがある。 哺乳類は、その生涯を無事に生き抜いたとして、一生に約5億回呼吸し、1呼吸の間に脈を4つ打つとして 総心拍数は約20億ということになる。 これは、ネズミのような小さな動物でもゾウのような大きな動物でも全ての哺乳類に共通し、本来人間も例外ではないと説明しているし概ねその通りである。

1分間の脈拍数を72として

72x60分x24時間x30日x12ヶ月x60年で 2239488000となる。

5億回のこきゅうと20億回の心拍数で一巻の終わり。 それをできるだけ長持ちさせるためにはどうすればよいか? 早く呼吸すればするほど貯金を早く使い切ってしまうのでゆっくり呼吸するしかない。 つまり深呼吸が大切ということになる。 脈をゆっくりにしようと思っても、それは出来ない話である。 脈をコントロールすることは直接的にはできない。しかし呼吸は自らでコントロールできる。 ゆっくり呼吸すれば脈も自然と遅くなる、心拍数も減る。早く呼吸している状況というのは必ず脈も速くなっている。

座禅、ヨガ、気功、太極拳、いずれも膵下丹田に息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。読教も又、同じである。

しかし今の世はストレス社会、心臓に早鐘を打たせるようなことが身の回りにあふれている。誰もが息せき切って走っているようなあわただしさの中心をしずめ腹式呼吸でゆっくり息をすることに心掛けることが肝要である。

呼吸法について 「生きる」とは「息をする」が語源でであり 「命」は「息の道」が元になっているという。 「死ぬ」又は「息絶える」ことを「息を引きとる」という。

人間の生命活動の根幹が呼吸ということである。 根本の呼吸がちゃんと出来ていないと意味がない。(風邪の大半は呼吸法の間違いからでありその原因は口呼吸である。)** 口はあくまでも消化器であり呼吸器ではない。呼吸器は「鼻」である。

釈尊の経典にもある「安息経」も一度目を通されるとよい。

釈尊の呼吸法(木村弘昌著) 呼吸による癒し(ラリー ローゼンバーグ著)
ともに春秋社から出ている。

私たちは殆ど無意識に息をしている。 しかし、釈尊いわく  息を吸うときには息を吸っている自分に気づこう(意識を集中させよう) 吐いているときには時には吐いている自分に気づこう。 喜びを感じながら、心を感じつつ、心を静めて呼吸しよう。 心を安定させ心を自由に解き放つように息をしよう。 即ち、呼吸を感じつつ呼吸する。 呼吸にはふだん私たちが気付いていない重要な真理がひそんでいると説いている。 出息、吐く息を主体とした呼吸法に心掛けよとも説いている。

三呼一吸(吸って吐いて吐いて吐いて)一度吸いいれたらそれの三倍の時間をかけて吐くことを勧めている。

読教 長い呼気でで唱え、一瞬の吸気でつなぐというまさに吸気主体のトレーニングである。

「吐く息」が「生命」とある。オギャーと泣いて最初の息は呼気、即ち吐く息である。 人が死ぬときはグッと息を吸い込んでそのまま息途絶える。 だから「息を引き取る」というのである。故に、特に呼気を主体とし、呼気を感じつつ呼気に喜びを感じながら息をする。 そうすると心が静まり、心を安定させることが出来るのである。

釈尊の唱える呼吸法はただの身体トレーニングではない。「生きている自分に気付き」 「よりよく生きる」ことをめざす行である。

臍下丹田-- そういう言葉、体の場所を御存じであろうか?

人体の中心部を臍下丹田に置くというのは東洋思想の原点である。 臍の下の下腹部にあたるところでここに力を入れると、健康と勇気を得るといわれている。 最も重要な部分は、頭でもない、胸でもない、まさに下腹部であり。丹田を意識することから全てが始まるということを示している。

1 要するに人間の中心点は、肝であった。    ex.肝がすわっている。肝をくくる。肝におさめる。

2 近代になる中心点が上がって、胸になった。    ハートは心であり、胸にあるとされた。

3 さらに現代になると脳に全てがあると考えられるようになった。  諸々の感情、心のありようも、全て脳の働きとされるようになった。



今は、「息が上がった時代」「肩で息をしている生き方」である。

故に息を静めることが大事である。 息を決めるという意味から呼吸を下半身に取り戻す必要がある。 人間の重心を「頭に来ている」状態から「ハート、胸」に さらに肝の座った位置に静めていく必要があるのではなかろうか。

一日のうちわずかな時間でもよい。
ゆっくり三呼一吸、呼気主体の深呼吸をされてみてはいかがでしょうか。 心静まり、又、別の考え方、世界も見えてくるのではなかろうか。 深呼吸は心の免疫の第一歩である。