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第31話 「発癌」はいつ?


癌にもたくさんの種類があり、白血病のように、腫瘍(しこり)にならないものもある。また、小児癌と大人の癌でも、その増殖のスピードは違う。

これからの話に申し上げることは成人の腫瘍(しこり)を形成する癌の一般的なスピードについてである。

通常1cmの癌が見つかると、それは早期発見と言われる。乳癌に至っては2cmまでが早期発見と定義されている。 しかし1cmの腫瘍(しこり)となると、その中に詰まっている癌細胞の数は約10億個であり、その大きさになるまで約10〜15年の月日が経過しているものと思われる。 さらに厄介なことに、このくらいの大きさ(1cmのしこり)になると、この1cmのしこりから毎日300万個の癌細胞が血中に流出するそうである。そして、その1〜3%が血管に詰まったり組織に定着するものと考えられる。 その後の推移はその人の免疫力によって左右されることとなる。

良く我々は毎日5000個の癌細胞が出来ているといわれている。それは毎日の新陳代謝によって偶発的にできているものであるがこの5000個を毎日リンパ球がすべて除去してくれているから、我々は毎日発癌せずにいられる訳である。

毎日300万個の流出と言うと新陳代謝まで偶発的に出来る5000個の600倍である。こんな量をリンパ球は果たして毎日除去できるのであろうか。1cmのしこりの癌を発見した時にはすでに転移している可能性は大で、事実、6mmの癌を発見した時には既に全身転移をしていた症例も多いい。 そうなると、本当に1cmの癌を早期癌と言って良いのか否かの問題が出てくるわけである。

現在は、CT、MRI、を用いても5mm以上の大きさでないと癌の発見は困難である。 5mm以下は疑いをもってみることは出来るが確定診断がつかないので実際問題として治療は出来ないのである。

Aさんが52歳のときに健診で1cmの癌が見つかったとしよう。 52歳に発病したのではないのである。あくまでも52歳は発見の年齢で、発癌したのは37〜42歳ごろなのである。
1cmの癌を早期癌として早期発見としているのは5mm以上の大きさでないと癌を確定できないからであって、臨床上の転移、再発のリスクが少ないからではないのである。

そして我々は早期発見も大切であるが、何よりその前に発癌させないことを考えなければならないのである。