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第35話 冷えを軽視することなかれ

漢方医学にも様々な論文がある。その1つに「傷寒論」という論文がある。後漢時代に書かれたものであるから、今から約2000年前に記述されたということになる。

「寒さに傷られて起きた病気を治す理論」という意味である。
その頃、既に中国では「冷え」があらゆる病気の原因であることがつき止められていたのである。

冷え=免疫力低下であるから、なんのことはない。現代人を悩ましている病気の殆んどが該当する。
冷えは、人類の大敵なのである。

人類の祖先は、そのことに2000年前から気付き、対策を講じてきたはずなのに、現代人が「冷え」に悩まされているのは何故なのか? それは、現在人の文明的な生活がことごとく「冷え」をもたらすからである。
その結果、世界のトップレベルにある長寿国が、その医療費に悲鳴を上げているのである。
傷寒論に立ち戻り、冷えをおこさない生活をおくらなければならない。
文明、科学の発達を無条件に喜ばないことである。

○ジェローム神父は言った。
神よ与えたまえ。変えてはならないものを変えない努力と、変えなくてはならないものを変える勇気と、そしてその両者を識別する能力(知恵)を。
○阿久悠は言った。
私は時代を否定しない。しかし、どうやったら少し時代から遅れて生きていけるかそれを考えている。

我々は、文明の恩恵、科学の発達と共に徐々に体温を下げていったのである。

朝風呂の勧め

自動車のメンテナンスを大事にする人は、エンジンをかけて、いきなり走り出すようなことはしない。暖気運転でアイドリングを行い、油の温度も上げ、油圧系統にもゆっくり油を潤滑させ、全てのコンディションが整ってからアクセルを踏む。
人間の体もそれと同じである。
人間の体は通常午前3時〜午前5時が最も体温が低い。病気の末期の方がこの時間帯に亡くなられる事が多いのもこの為で、体温が低い時は、生体にとって最も抵抗力の低い状態なのである。
起床というのは、副交感神経が優位な状況から交感神経が優位な状態への切り替えである。たくさん並んだスイッチを次から次へと反対側に倒していくようなものである。これを急激に行えば、体のどこかに必ず無理がくるものである。起きる直前の体は、まだ活動する準備が出来ていない。
だから朝の目覚めはゆっくりと、体温を上昇させながら行うべきなのである。

ただ朝風呂に入るにしても次の1点だけは気をつけなくてはならない。
それはあまり交感神経を優位にさせないことである。朝、目が醒めて起きればそれだけで交感神経は優位となっているものである。入浴によって更に交感神経を優位にするとかえってリンパ球の減少を招くことになる。
交感神経が優位になり過ぎていないかをチェックするには発汗と脈拍である。下の表の通り交感神経が優位になり過ぎると脈は上昇し発汗が始まる。



私は発汗させず、脈を上げず、1時間湯船につかっている。
そのことはまずお湯の温度が39〜40℃であること。それと風呂場の戸は開けて入り、廊下の冷気が入り丁度その冷気が顔に当たるように工夫している。
これで湯気にのぼせることも湯当たりする事もない。あたかも露天風呂の環境である。そして正しく「頭寒足熱」なのである。

体の深部に熱を伝えていくのに熱い42℃のお風呂に入ったら長時間、湯船につかることは難しく、結局は湯当たりして交感神経を優位にし過ぎてリンパ球を減少させることになり、そして何より深部に熱を伝え込むことが出来ない。
とにかく体は急激な変化を好まないものである。熱を伝え込むには、それなりにゆっくりと深部体温を上げて行くことが肝心なのである。
しかし実生活では、目覚まし時計の音とともに飛び起きて、バタバタと着替え、トーストをコーヒーで流し込んで出勤である。

お腹には、全身の70%の免疫細胞が集まり、その中心は腸である。腸内のパイエル板と呼ばれる免疫機関には、リンパ組織が集中し、ここが体の免疫力の元となっている。この組織も体の他の部分と同様に冷えると機能が低下する。(即ち、外敵から守る力も減弱する)又(日々、生産される異型細胞の除去にも取りこぼしが発生する恐れが出てくる訳である)