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第39話 「冷え」とは何か? (その2)

1. 「冷え」と「冷え症」は違う。

殆どの人は、自分に「冷え」があるとは感じていない。しかし実際にサーモグラフィーで我々の体の温度分布をチェックしてみると、例外なく「冷え」が存在する。 即ち、足元が冷えているのである。

我々の体は、心臓を中心に37度近くの温度がある上半身に対し、下半身は下に行く程低く、足元は31度、更に足指の皮膚温となると30度を下廻ることも多い。足元と上半身とでは、6度前後の温度差がある。こうして体の上・下半身の温度差が生じてしまった状態が「冷え」なのである。それ故、「冷え」は万人に生じているものなのである。

「冷え症」とは、その手足の冷たさを自覚している状態のことで、自覚していなくても「冷え」は存在するのである。
生命維持の為の重要臓器のその殆どが、上半身に集まっている。心臓、肺、肝臓、これらは24時間働き続ける発熱機関である。
実際に、肺と心臓は動き続け、肝臓は24時間代謝を行い、代謝熱を産生している。当然、上半身はこれらの発する熱を受け体温低下し難いのに反し、下半身はその逆なのである。
しかも人間は2足歩行で、1日のうち16時間は起き上がった状態であり、重力に逆らって下半身、特に大腿、下腿、足元の血液の環流は悪い。それ故、「冷え」は全く性別とは関係なく万人に生ずるものなのである。

しかし「冷え症」は圧倒的に女性に多い。これは正に日常の男、女のホルモン分泌の差によって生ずるメカニズムが女性の「冷え症」を加速させるのであるが、本稿では男、女平等に生ずる下半身からの血液の環流低下によって生ずる「冷え」並びに「冷え症」について考えてみることにしよう。

2. 「冷え」のメカニズム

「冷え」のメカニズムを系統立てて確認しておこう。

  1. まずは熱源となる臓器が上半身に多く、下半身に少ない。
  2. 臍下、特に大腿、下腿、足元の血液は重力の影響で心臓への環流が悪く、滞ることとなる。
  3. B. の状況が長時間続くと、上半身の温かい血液が下半身に流れ難くなるのは、当然の理である。
    (この先渋滞中(うっ血中)とわかっていて車(血液)を進入させる人はいない、のと同じである。) そうなると、もう一段、下半身、特に足元の温度は低下し温度が低下したことによる2次的末梢血管の収縮が生じ、「冷え」、即ち上半身と下半身の温度差が広がることになるのである。
これが「冷え」のメカニズムであり、「冷え」がなかなか改善しない、負の連鎖的要因なのである。
足先が、手先が冷たいと思ったこともないあなたにも「冷え」は存在することがお分かりいただけたと思う。