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第40話 「冷え」と「ほてり」の関係 (その3)

第1回目が「冷え」と「冷え症」の定義
第2回目が「冷え」のメカニズムであった。

今回の3回目においては、「冷え」が長期に渡った時におきる体の緊急避難行為、「ほてり」との関係を明らかにしていきたいと思う。
その前に4つ程、確認しておきたいことがある。

確認その1. 下半身、特に大腿、下腿、足元の血液は心臓への還流が悪くうっ血状態である。

確認その2. そうなると上半身の暖かい血液は、下半身、特に足元などへは流れ込んで行き難いということになる。

確認その3. 血液と一言で言うが、血液によって運ばれる物質は多い。まず、酸素、ブドウ糖、ホルモン、その他諸々の伝達物質、白血球、リンパ球などの免疫担当細胞等。

確認その4. それらの物質は、足元の細胞であれ、他の細胞と同じように欲している訳で、その要求度に差はないのである。

となると、どうやって足元にまで酸素、ブドウ糖等を届けるのであろう。
我々の体は考えるのである。「何とかして、足元にも酸素、ブドウ糖等を届けなければならない。」
その時に体が選択する「緊急避難行為」がほてりである。

①「ほてり」のメカニズム

仮に心臓を「東京」、足先を「青森」に例えてみよう。どうしても物質を東京から青森まで運ばなければならない時に、今、幹線ルート、即ち東北新幹線が、また東北自動車道が渋滞(うっ血状態)ですみやかに物質を運ぶことが出来ないと仮定しよう。
幹線ルートがダメなら、海辺の一般道を通って運ぶと言う手もある訳で、物資は常磐線、常磐自動車道で茨城に運ばれ、小湊鉄道や海岸線を走るルートで仙台まで、そこから先も三陸鉄道や海岸道路を走り、青森まで運ぶとお考えいただきたい。
もう、お分かりになったと思う。太い血管(動脈)で心臓(東京)から足元(青森)まで血液(物質)を運ぶのではなく、末梢血管(在来線、一般道)で酸素、ブドウ糖等(物資)を運ぶメカニズムが存在するのである。
当然、末梢血管は運ぶ酸素、ブドウ糖などの効率向上の為、目一杯拡張することになり、その末梢血管拡張の証しの症状が「ほてり」なのである。

②「自律神経」のすごさ。

我々の体は、実に良く出来ていて、しかもオートマチックに働くメカニズムを有している。それが「自律神経」である。
寒いと「鳥肌」が立つ。これは、体が熱を奪われないようにと表皮の血管を収縮させるのであるが、その血管収縮が皮膚の立毛筋を引っ張るので毛が立ち、「鳥肌」が立つということになる訳である。これも、体温低下を防ぐ、体の自律神経を介しての1次緊急避難行為である。
もう少し寒くなると「震え」が来る。これは2次的緊急避難行為である。「もう表皮の血管収縮だけでは間に合わない。」
御主人様の筋肉を動かし、熱を作り出し、なんとか凍死から救おうとする正に高次の緊急避難行為なのである。
それ故、「鳥肌」も「震え」も全く本人の意思とは無関係に発生する。「鳥肌」が熱を奪われないようにとしての緊急避難行為、「震え」が体温を維持、上昇させようとしての緊急避難行為、そして「ほてり」は各細胞に必須の物質を運ぶための緊急避難行為と言えるであろう。もちろん全て本人の意思とは無関係なメカニズムである。

③「ほてり」の症状を検証する。

「ほてり」の症状と言えば「熱感」と「紅潮」である。誰もがわかる末梢血管拡張症状である。「末梢」とは「末端」という意味である。人間の体を正面から見て末端とは「顔」「手先」「足先」である。
今度は人間を輪切りにして見てみよう。そうすると「末端」は「表皮」である。「顔」「手先」「足先」そして「表皮」の血管が拡張していることとなり「ほてり」の症状と正に一致する。

④結論

「ほてり」のある人は、結構暑がりである。
末梢血管の拡張により「紅潮」もあり、その「熱感」から暑がる人が多い。
ほてっていれば「冷え」はないのか?
ほてっていれば「体温」は低くないのか?
答えは、その逆である。「冷え」があって、それが長期化しているか、またその「冷え」が重症(即ち上半身と下半身との温度の差が平均より大きい)であるが故に末梢血管が異常に拡張している訳で、決して好ましい体温でもなければ、正常な血流環境ではないのである。

「ほてり」のある人は、他の方以上に暑がることが多い。
例えば外気温があまり高くないのに、更には冬でも暑がる人もいる。我々は恒温動物なので、冬でも、どんなに体温の低い人でも35度はある。一方、外気温は15〜16度、冬ではもっと低く5〜6度である。寒く感じるのが当然なのに暑がること自体、異常なのである。もっと厄介なことは、そのような方に限って「自分の体温は高い」「高いから暑く感じるのである」と言い張ることである。
よく握手したときに相手の手が異常に熱く感じることがある。結局のところその人はほてっているのである。

「ほてり」が発生する前に、自らがその原因である「冷え」に気付けば良いのであるが、日常から体から熱が逃げ出してしまう服装、食事、エアコン下に我身を置く生活習慣をしているので冷えに慣れっこになり、冷えを感じるべき本能が働いていないのである。まずは、この状況を認識、自覚すべきなのである。